「コロナ感染急拡大」に伴い奈良県に緊急要請書を提出しました

奈良県知事                         
荒井正吾 様

コロナ感染急拡大、医療・介護等のひっ迫に対する緊急要請書

                                 2022年2月15日
                                 奈良民主医療機関連合会
                                 会長 宮野栄三

 日頃より、新型コロナウイルス感染拡大への対応で日夜奮闘されておりますことに敬意を表します。
 新型コロナウイルス感染はかつてない規模で拡大しております。県の「2.8対処方針」では、「オミクロン株による感染が広がる中、その対策は、ウィルスの特性を科学的にとらえ、正しい情報(エビデンス)に基づいて」として、オミクロン株の特性の特徴は、①強い感染力が懸念される、②重症化率は低く、死亡者も少ない状況、③ワクチンは有効と思われると、3点をあげています。確かに、致死率の低下などもデーターで示されていますが、感染の規模がここまで拡大していること、第6波前半は若年層での拡大であり、今は高齢者、子どもへと拡大していること等からも、対処方針にある、「『体験に学び、常に改善する』ことが大切です。」
 今、感染者の急速な広がりの中、コロナ陽性患者を受け入れる重点病院29医療機関のうち、少なくとも12病院でクラスター、院内感染の発生が報告されている状況となっています。
私たちの医療、介護の現場から現状をみれば、①病院に入院、施設入所している高齢者が感染しても、在宅で介護を受けている方が感染しても、重点病院には入院・転院できず、今いる病院、施設、在宅で診ざるをえない状況であること、②保健所との入院相談で、「延命措置が必要か確認を」と言われるなど、「いのちの選別」ともいえる状況が起こっていること、③救急搬送を依頼しても搬送先がみつからない、みつかるまで数時間かかる困難事例が少なくないこと、救急応需率も60%近くに下がっており、日常の医療にも支障がでている状況となっていること、④このような状況下で働く、医療・介護職員の置かれている状況は心身ともに疲労困憊していると言わざるを得ません。
薬剤投与の開始、奈良県においては医師会の協力、医療機関と保健所のホットラインの開設(2月8日)など、改善されている点もありますが、現状について、あらためて県をはじめすべての関係者が共有し、県民、医療や介護、福祉の現場に寄り添い、それに見合う「常に改善」が必要と考えます。
新型コロナウイルス感染症に2年以上向き合い、今も収束の見通しがもてない中でがんばる、医療機関、福祉施設を奈良県として支えるため、緊急に以下の点を要請いたします。

1.奈良県が上記のような緊急事態にあることを認識していただき、国に対し、まん延防止等重点措置を要請すること。

2.重点病院(病棟)以外の病棟、施設で感染者を診なければならない状況が発生、拡大していくことが予測される中で、早急に対応を行っていただくこと。
(1)コロナ治療薬ならびに検査キッドの十分な確保と供給を行うこと。
(2)クラスターの発生等により、実質的に重点医療機関の要件を満たすような医療機関については、県が厚労省と協議し認められれば、重点医療機関の空床確保の補助対象となるとされております。こうした医療機関を支援するために、各医療機関に再度通知を徹底し、相談に丁寧に対応すること。要件を満たすものについては、直ちに厚労省と協議を行うこと。
※令和3年度新型コロナウイルス感染症緊急支援事業(医療分)に関するQ&A(第15版)について:令和4年2月8日付事務連絡)。
(3)高齢者施設においてもクラスター等が発生しています。病床ひっ迫で、やむを得ず施設内で療養を行う場合の、地域医療介護総合確保基金を積極的に活用し、高齢者施設を支援すること。
※1名1日1万円(15日まで)の補助制度やかかり増し経費への補助等(厚労省事務連絡:オミクロン株の感染流行を踏まえた医療提供体制の対応強化について:令和2年2月8日の4-(3)-②③)
(4)在宅療養を支えるためにも、県内の各保険者が、陽性者や濃厚接触者に訪問介護を提供した場合の補助等を行うよう働きかけていただくこと。市町村が実施しやすいように、国が補助するよう働きかけていただくとともに、県として財政支援等を行っていただくこと。
 ※千葉市では1日3回を限度に1回9000円の支援金を支給する
在宅医療では、診療報酬で医師には9500円、訪問看護では1万5600円の加算がつく

3.社会的機能を維持するために
(1)社会的機能を維持するために必要な事業に従事する職員の数を増やすこと。
(2)社会的機能を維持するために必要な事業に従事する自宅待機職員の待機期間を短縮するための検
査に使用する検査キットの十分な確保と供給を行っていただくこと。
(3)そのための検査については自費負担(事業所負担)とされているが、公費の対象とするよう、国に要請いただくこと。国で保障されるまでについては、県が創生基金を活用し県単独事業として公費での負担とすること。
※「B.1.1.529(オミクロン株)の感染が確認された患者等に係る入退院及び濃厚接触者並びに公表等の取扱いについて」事務連絡:令和3年11月30日・令和4年2月2日一部改正~新型コロナウイルス変異株への対応に関するQ&A―Q24)。

4.その他
(1)全ての医療機関、介護事業所等が一丸となって新型コロナウイルス感染症に対応する中で、分断につながりかねない「看護職員等処遇改善補助金」、「介護職員処遇改善支援補助金」については、その内容を見直し、全ての医療従事者、介護従事者の実質的な賃金引き上げとなるよう国に働きかけること。
(2)令和4年2月2日に行った、「医師・看護師・介護福祉士等の国家試験に関する緊急要請」に対
 する結果報告をしていただくこと。

                                        以上